高出力レーザー計測:課題とソリューション

High Power Laser Measurement: Challenges and Solutions

ここで扱うような測定機器は、高度で洗練された用途に使用されるものであるため、必然的に機器自体も高度かつ高性能であり、率直に言って比較的高価なものです。
私たちはこれまで、多くのお客様が本来であれば回避できた問題に直面するのを支援してきました。その経験から、このような測定機器を使用する方々が、機器の性能を最大限に引き出し、できるだけ長期間にわたって活用できるよう、有益な情報を提供することには大きな意義があると考えています。

パワー密度と損傷しきい値を理解する

まずは基本事項を簡単におさらいしましょう。

レーザービームはセンサー(通常は熱型センサー)によって吸収されます。そして、センサー内部で発生する熱流が測定されます。この熱流は入射するレーザービームの出力に比例しており、センサーから周囲環境へ熱が伝わる過程で検出されます。

以上が基本原理の説明です。(「簡単に」と言ったとおり、短い説明でした。)

レーザーパワーセンサー損傷の一般的な原因

それでは、センサーの性能を最大限に引き出し、寿命を延ばすためのベストプラクティスについて見ていきましょう。

  1. レーザーによる損傷を防ぐ

センサーはさまざまな原因によって損傷を受ける可能性があります。

1a. パワー密度が高すぎる

レーザーセンサーのデータシートに記載されている基本的な仕様の一つに、「損傷しきい値(Damage Threshold)」があります。これは、センサーの受光面(吸収体)が損傷を受けることなく耐えられる最大パワー密度(W/cm²)を意味します。(パルスレーザーの場合は、最大エネルギー密度も損傷しきい値の一種ですが、ここでは取り上げません。)損傷しきい値については、以下の重要な点を理解しておく必要があります。

A.可能な限り、規定されている最大パワー密度の50%以下で運用することを推奨します。 さまざまな許容差が存在するため、十分な安全マージンを確保することが重要です。

B.最大パワー密度はレーザー出力に依存します。
同じ種類の吸収体であっても、高出力時には許容される最大パワー密度が低出力時より大幅に小さくなる場合があります。

C.ビーム全体の平均パワー密度が許容範囲内であっても安心はできません。
ビーム断面内の一部に局所的にパワー密度の高い領域(ホットスポット)が存在し、その部分のパワー密度が許容値を超えている場合、センサーが損傷する可能性があります。

C項から導かれる重要なポイント

実際に、ユーザーがパワー密度を計算し、「十分に安全な範囲内であることを確認した」と判断していたにもかかわらず、吸収体の一部(中央ではなく片側)に焼損痕が発生していたケースがありました。以下はその一例です。

金色の反射コーンが開口部内に見えるでしょうか。多くの熱型センサーでは、このような構造が採用されています。この反射コーンの役割は、入射したレーザービームを半径方向へ均一に、かつ適度に拡散させながら反射することです。これにより、コーンの周囲にある円筒状の吸収体(受光面)には、より広い面積に広がったビームが照射されることになり、結果としてパワー密度を低減できます(レーザー出力が高くても損傷を防ぎやすくなります)。しかし、ビームがコーンの中心に正しく位置合わせされておらず、適切に入射していない場合、ビームは均一に分散されません。その結果、吸収体の一部に局所的なホットスポットが発生し、特定箇所に過大な熱負荷が集中します。そのような状態が続くと、吸収体の損傷につながります。(なお、ビームのセンタリング要件については、センサーのデータシートに記載されています。)

ビームのアライメントとセンタリングの重要性

1b. 総出力が高すぎる

例えば100kWのレーザービームを測定するセンサーは、非常に大きなエネルギーを吸収しています。このようなセンサーは、吸収した熱を効率よく排出するための機構(通常は水冷)を備えており、流入する熱と少なくとも同じ速度で熱を除去できるよう設計されています。そうでなければ、センサーは最終的に過熱して故障してしまいます。「最終的に」というと長い時間がかかるように聞こえますが、超高出力レーザーの場合、過熱は実際にはごく短時間で発生することがあります。例えば、試験の準備が整い、レーザーを起動した後で冷却水循環装置を起動したとします。しかし、その後測定値が表示されません。冷却がない状態で、わずか0.5秒間だけ高出力レーザーが照射されたとしても、その短時間でセンサー内部の部品が損傷し、故障してしまう場合があります。このような故障が発生すると、測定値が常にゼロになる場合もあれば、測定値が断続的かつ不安定になる場合もあります。
通常、このようなケースでは、センサー内部の熱検出素子にあるはんだ接続部が最初に損傷します。熱応力によって接続が切断されたり、機械的に弱くなったりするためです。
いずれにしても、結果として高価なディスク(受光部)の交換が必要になります。

そこで次に取り上げたいのが…。

高出力レーザーを安全かつ正確に測定するためのベストプラクティス

1c. 損傷を防ぐためのポイント

  • ビーム全体にわたって、パワー密度が規定値を十分下回っていることを確認してください。
  • 反射コーンを備えたセンサーを使用する場合は、ビームが正しくアライメントされ、中心に入射していることを確認してください。
  • レーザーを起動する前に、冷却水を循環させてください。
  • レーザー出力と冷却水流量は低い状態から開始し、徐々に増やしてください。どちらも急激に変化させると熱的・機械的ストレスが発生し、はんだ接合部の断線リスクが高まります。

なお、当社ウェブサイトには 「How to Use Water Cooled Ophir Sensors(Ophir水冷センサーの使用方法)
」 という非常に詳細な記事があります。役立つ情報が数多く掲載されています。

    2. センサーを清潔に保つ

    まずは、この熱型センサーの吸収体をご覧ください。

    その黒い斑点は、おそらく有機系の汚染物質が吸収体表面に飛散・付着し、その後レーザーを照射した際に焼き付いてしまったものです。こうした汚れは、焼き付く前であれば簡単に除去できたはずですが、一度焼き付いてしまうと手遅れです。その場合、センサーは高価な受光ディスクの交換が必要になります。センサーは常に清潔な状態に保つようにしてください(吸収体の種類ごとに適切な清掃方法がありますので、詳細については当社までお問い合わせください)。
    また、一部のセンサーには保護ハウジングなどのアクセサリも用意されています。これらを活用することで、汚染物質の付着や損傷のリスクを低減できます。

    3. サーマルオフセット(Thermal Offset)

    Ophirのパワーメーターには「OFFSET(オフセット)」機能が搭載されており、センサーに影響を与えている光学的・熱的オフセット(周囲光や熱源など)を除去(ゼロ調整)できます。しかし、オフセットの原因がセンサー自身にある場合、それは「背景要因」とは言えません。例えば、暑い車内から空調の効いた実験室へセンサーを持ち込んだとします。センサーは冷却される過程で熱を放出し、その熱流によって測定値にオフセットが生じます。この状態で「OFFSET」ボタンを押すと、メーターはその時点のオフセット値を以降のすべての測定値から差し引き続けます。しかし、センサーが実験室の環境温度に近づくにつれてオフセットは徐々に小さくなっていくため、測定値は次第に実際の値からずれていき、不正確になってしまいます。

    要点:メーターの「OFFSET」機能は、センサーが周囲環境と熱平衡状態に達してから使用してください。

    4. カロリメトリックセンサー(熱量測定型センサー)

    一部のセンサーは、水の温度上昇と流量を測定し、その2つのパラメータからレーザー出力を算出する方式を採用しています。以下は、この方式を採用した Ophir のセンサーの例です。

    水路内には流量センサーが組み込まれています。センサーを保管する際、水路内の水を排出するために
    圧縮空気を使用しないでください。
    流量センサーを損傷する可能性があります。可能性があるというより、実際に損傷してしまいます。

    これも経験に基づくアドバイスです。このような事例は一度ならず目にしてきました。

    本記事の簡単な概要が、皆さまのお役に立てば幸いです。内容の性質上、できるだけ短く要点を絞ってご紹介しましたが、ここで触れた各テーマについては、当社ウェブサイトにさらに詳しい情報を多数掲載しています。

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