PCBの穴あけ技術は、1960年代以前から使用されてきた機械加工によるドリリングを起点として、この数十年で大きく進化してきました。この方式では、超硬ドリルやダイヤモンドチップ付きドリルビットを回転させ、片面基板や両面基板にスルーホールを形成します。基本的な基板レイアウトには有効な手法ですが、加工精度の限界、工具摩耗の発生、さらには穴あけ深さを自動的に制御できないといった課題があります。その後、エレクトロニクス業界が多層基板化や小型・高密度化へと進むにつれて、より高精度で効率的な穴あけ技術へのニーズが高まりました。こうした要求に応えるため、より高度な加工手法の導入が不可欠となったのです。 CO₂レーザーからUVレーザーへ:高精度化への進化 1990年代(図1)には、CO₂レーザードリリングが画期的なソリューションとして登場しました。約9.4 µmの赤外線波長で動作するCO₂レーザーは、高いエネルギー密度によって誘電体材料を高速に除去することができました。CO₂レーザーの大きな利点の一つは、銅との相互作用にあります。銅は赤外線領域において反射率が非常に高いため、レーザービームは銅層に到達すると自然に加工が停止します。その結果、過剰な穿孔を防ぎながら、高精度なマイクロビア形成が可能になります。この特性により、加工深さの厳密な制御と高スループットが求められるHDI(高密度実装)基板の製造において、CO₂レーザーは理想的な選択肢となりました。しかし、基板パターンのさらなる微細化が進むにつれ、より高度な加工制御が求められるようになりました。 990年代後半から2000年代初頭にかけては、より小径のビアや微細加工への需要に応えるため、通常355nmで動作するUVナノ秒レーザーが導入されました。UVレーザーは銅および有機材料の両方に対して高い吸収率を持ち、熱影響を最小限に抑えながら高精度なアブレーション加工を実現します。一方で、UVレーザーにはCO₂レーザーのような「銅層で自然に加工が停止する特性」がないため、より高度なプロセス制御が必要となります。こうした課題を受け、2010年代にはUVレーザーとCO₂レーザーを組み合わせたハイブリッドレーザードリリングシステムが開発されました。この方式では、UVレーザーが表面の銅層および誘電体層を加工し、その後CO₂レーザーが残った誘電体を除去して次の銅層で加工を停止します(図2)。このハイブリッド方式により、今日の高度な多層PCB設計に求められる高精度加工と高スループットの両立が可能になっています。 各レーザー技術がPCBのどのような製造機能を実現しているのかを、以下の表にまとめました。 レーザードリリングがこれらの用途をどのように支えているのかをより理解するため、以下の表では、主要な製造機能、それを実現するレーザー技術、そしてPCB製造における具体的な利点を整理しています。 機能 実現技術 PCB製造における利点 マイクロビア UVレーザー/CO₂レーザー HDI基板における高密度配線を実現 ブラインドビア/ベリードビア ハイブリッドレーザードリリング 高密度・多層基板の小型化に貢献 加工深さ制御 CO₂レーザーの銅反射特性 銅層で自然に加工が停止 微細形状加工 […]