アプリケーションノート ナイトビジョンシステムおよび高度運転 支援システム(ADAS)用のIR光学系

アプリケーションノート ナイトビジョンシステムおよび高度運転 支援システム(ADAS)用のIR光学系

問題 夜間、霧、煙、豪雨、雪などの悪天候条件での視界不良は、世界各国での交通衝突事故の主要な原因になっています。これらの困難な状況では、ナイトビジョンシステムが車両と歩行者の安全を保証するためによく使用されます。これらのシステム用の光学系を開発する際に、衝突のリスクを最小限に抑え、最大の性能を提供するためには、高画質の赤外線画像と長距離の対象物検出が必要です。

背景 交通衝突事故の原因に関する研究では、交通衝突事故と死亡者数に関連する時刻と天候条件について長い間調査されてきました。統計によると、致命的な衝突事故の44%は夜間に発生しました²。視界不良は明らかに交通衝突事故とその結果生じる死亡者の主な要因です。ドライバーが視界不良を防止して、暗闇、煙、霧などの薄暗い条件でも潜在的な危険を予測できるように、ナイトビジョンシステムを搭載する車両がますます増えています。これはADAS(高度運転支援システム)において一つの傾向ですが、多くの大手自動車メーカーが同種のシステムに数十億ドルを投資しています。これらのシステムは、半自動または完全自動運転、衝突防止、警報システムなど、一連の機能を提供しています。

ADAS はアクティブまたはパッシブにすることができます。パッシブシステムは潜在的な危険をドライバーに警告し、反応する時間を与えます。アクティブ安全システムは、危険に対応して直接、行動を起こします。

このシステムは、交通安全を高め、人間の認知限界やエラーによる衝突事故を最小限に抑えるように設計されています。このような認知限界の1つは、視界が悪いと見えなくなることであり、この状況を解決できるのはナイトビジョンシステムだけです。


図1。 ナイトビジョンシステム-可視画像と赤外線画像

可視光カメラを使用する標準ビジョンシステムは、太陽または街灯の光に依存しているので、薄暗い照明条件での使用は制限されます。対照的に、赤外線画像ナイトビジョンシステムは、すべての対象物から放出される熱エネルギー(熱)を使用して、完全な暗闇の中でも「見える」ようにします。

自動緊急ブレーキ(AEB)システムに関する最近の研究では、ADASを装備した車両に赤外線カメラが必要であることが明らかになっています。AAAが行った研究では、歩行者検出機能を備えたAEBシステムが夜間で、まったく効果がないことがわかりました。評価された4つの自動車モデルには、赤外線画像カメラはなく、レーダーと可視カメラがありました。昼間では、これらの車両は、大人の歩行者との衝突比率を検出して回避することができました(時速20マイルで走行する場合、約40%)。しかし、AEBシステムはどの車速でも、夜間では、大人の歩行者を1人も検出できませんでした。

赤外線画像がなければ、これらのシステムは昼間の使用に限定されます。

赤外線画像を備えたナイトビジョンシステムを使用するだけでは満足できません。ナイトビジョンシステムを効果的に使用するには、高感度光学系を備える必要があります。

高性能の断熱化(つまり、すべての温度で焦点を合わせる)レンズは、長距離での危険を検出し、さらに対象物を分類して、ドライバーに十分な応答時間と前方の危険タイプに関する情報を提供します。これらの光学系は、最も過酷な環境条件でも高画質と完全な操作性を維持しなければなりません。

問題 自動車産業向けの高性能光学系の開発には、多くの課題があります。

高画質のADASとAV(自律走行車)システムは、AI(人工知能)アルゴリズムに基づいて、撮影した画像をリアルタイムで分析し、潜在的な障害物や人間を識別し、動作して衝突を回避します。明らかに、これらのシステムが効果を発揮するには、遠くから対象物を認識して識別する必要があります。これにより、システムはタイムリーに、非常に高い確度で動作し、誤認警報を起しません。これらの目標を達成するために、画像は利用可能な最高品質、つまり回折限界を備えている必要があります。これは、IRディテクターとレンズの両方が最高レベルの性能である必要を意味します。最新のIRディテクターを使用する場合、最先端のディテクター性能を十分に活用するためにレンズの品質を改善する必要があります。言うなれば、レンズの品質が不可欠であるということです。最高のディテクターを用いても、劣ったレンズは劣った画像を生成します。高性能のディテクターと一致させるには、F#をより低くし、公差を抑え、最少収差を備えた結像レンズを使用する必要があります。

光学系も以下の機能を持たなければなりません:

  • コンパクトなサイズ
  • 断熱化- 運転中の任意の温度でシステムを連続的にフル稼働させるために不可欠です。
  • 次の全ての環境条件でのフル稼働- 極端な温度、高湿度、激しい衝撃と振動、熱衝撃、耐衝撃性、および化学薬品、塩水噴霧、風塵に暴露など。
  • 低コスト- この課題は、高品質と低コストの両方を備えたレンズを設計および製造し、大量消費市場向けの費用対効果を高めることです。

 

ソリューション 赤外線画像ナイトビジョンシステムの要件を満たすために、Ophirは、自動車産業向けのレンズの設計と製造における長年の豊富な知識と経験を活用しています。Ophirは、いくつかの革新的な光学的および機械的設計代替案のオプションから開始して、各オプションを十分に分析し、性能とコストの両方を考慮して、最も費用効果の高い設計を選択しています。

最終的な設計コンセプトを選択する際に、公称能力、公差敏感性、製造可能性、原材料のコストと可用性、製造と組み立てのコスト、試験能力、リスクなど、 多数の項目が考慮されます。

非球面と回折面は、光学素子の数を最小限に抑えな がら、収差を減らして画質を向上させるので、Ophirの光学設計でよく使用されます。これにより、サイズ、重量、コストが低減されます。ダイヤモンド旋削技術は、これらの非球面および回折面を、最上レベルの精度と品質で製作できます。特に赤外線光学系の場合、球面よりも光学性能が大幅に向上する非球面レンズの表面が必要です。

非球面回折レンズ表面により、色収差や球面収差の修正などの多数の機能を統合できます

製品の特徴 暗視システムとADASシステムの光学系に関連して、Ophirの製品群は次の機能を備えています

  • 高MTF
  • 最大51.1°のHFOV
  • QVGAまたはVGA解像度、12、17、25 µmピクセルピッチ
  • 大量生産

 

設計完了後、Ophirは最先端の設備と製造プロセスを使用してプロトタイプ生産に移り、最高品質のIR光学製品を生産します

光学素子の製造後、高度な設備が整った研究および製作ラボにて、レンズの組み立てとテストが行われます。プロセス全体が、自動車市場向けの高品質で費用対効果の高い製品を保証します。


図2: NV3 | 12.8mm f / 1

Ophirはこれまでに何十万もの自動車用レンズを市場に提供して参りました。第2世代の製品-320×240 25μm FPAのナイトビジョンシステム2(NV2)から始まり、現在の第3世代の製品-320×240 17μm FPAのナイトビジョンシステム3(NV3)に移行し、次世代のナイトビジョンシステム4(NV4)-640×480 12μm FPAを目指しています。


図3:NV3、12.8mm f / 1光学性能測定値
上のグラフ:測定した線広がり関数
下のグラフ:測定したMTF対空間周波数(サイクル/mm)

図3は、680177 – NV3、12.8mm f / 1の素晴らしい光学性能を示しています。これは、理論上の最大限界(回折限界)に接近しています。

結論 赤外線画像を使用した自動車のナイトビジョンシステムは、ADAS(高度運転支援システム)およびAV(自律走行車)市場の将来にとって重要です。それらのシステムに必要な高品質で低コストのレンズは、設計と製造の両側から見ると非常に魅力的です。レンズは、最も暗い照明条件で高い赤外線画像性能を発揮する必要があります。これにより、ナイトビジョンシステムは、遠方から潜在的な危険を検出して識別できます。

長年の経験と最先端の技術に基づいて、Ophirは数十万のレンズの出荷実績があり、そして最先端の次世代設計である”Night Vision 4 (NV4)” (640×480 12μmピクセルFPAに対応)を備えた、自動車ナイトビジョンシステムの世界的な大手サプライヤーです。

参考資料
1. 新技術の交通安全への影響:新技術の影響、OECD、2013年。
2. https://crashstats.nhtsa.dot.gov/Api/Public/ViewPublication/ 812384
3. https://newsroom.aaa.com/2019/10/aaa-warns-pedestrian- detection-systems-dont-work-when-needed-most

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